FXを始めるにはFX会社に口座を開設しなければいけません。よし口座を開設するぞ!と、意気込んだ方はちょっとお待ちください。
口座もFX会社によって様々な違いがあります。
FX口座を選ぶポイント
初めての方は何を重視すべきか迷うことでしょう。そこで選択基準となる代表的なポイントについて紹介します。
主に以下のようなポイントになります。
- スプレッド
- スワップポイント
- 取引ツール
- 約定力
- 情報力
- 信託保全の状態
- 取引特典
- デモ口座
- お客様サポート
- FX会社の信頼性
それぞれのポイントについて解説していきます。
スプレッド
スプレッドとはポジションを持った時に発生するコストです。例えばあるFX会社のドル円のスプレッドが0.2銭とします。
この場合、ドル円のBid(売値)レートが1ドル100円とした際のAsk(買値)レートは100.002銭となります。
Bidレート100円で売りポジションを保有しその時点で決済(買い注文)した場合、Askレートが100.002円なので0.2銭分の損失になります。
Bidは売る時の為替レート、Askは買う時の為替レートのこと。取引注文時にはこのレートに従って執行される。
上の例のように、保有後に即決済をしてもスプレッドがあるため、損失になってしまいます。
これがFXにおける取引コストです。また、スプレッドは口座によって違いがあります。特定の通貨ペアだけ狭いスプレッドなど、特色を出している所もあります。
スプレッドに関連してさらに重要なのがスプレッドの安定性です。
スプレッドは市場環境の変化(経済指標発表時など)に合わせて変動するので、安定して為替レートを提供してくれるかも大事です。
スプレッドが狭いほど取引コストが安くなり、利益が出しやすくなるため重要な選択ポイントになります。
買いポジションと売りポジションの価格差のこと。この差が小さいほど取引コストが少なくなる。
スワップポイント
スワップポイントとは通貨間の金利差を調整したもの。FXは異なる通貨同士の取引なので、通貨発行国の政策金利の影響を受けます。
つまり、低金利通貨を売って高金利通貨を買う取引をすれば、為替差益だけでなくスワップポイント分の差益も受け取ることができます。
金利差が大きいほど貰えるスワップポイントが大きくなります。ただし、スワップポイントは金利差をそのまま反映しません。またFX会社によって異なります。
スワップポイントは通貨間の金利差によって変動するため、常に一定ではない点には注意。
政策金利の変更によって変わるため、スワップポイントを口座選択の基準にするのは難しいかもしれません。
通貨間の金利差を調整した分を付与するポイント、低金利通貨を売って高金利通貨を買えばスワップポイント分の差益が発生する。
逆に高金利通貨を売って低金利通貨を買うとスワップポイント分の損失が発生する。
取引ツール
取引ツールというのは取引時に使用する取引用アプリケーションのことです。
有名なものでMT4があります。FX会社の多くでは独自ツールを提供しています。
FX会社で独自の取引ツールを提供している、MacOS用やブラウザ版などもある
FX会社で独自の取引ツールを提供している
世界中のトレーダーに使用されている取引ツール、カスタマイズ性に優れている
取引ツールの使いやすさは、トレードの成績にも影響するので重要です。使用している取引ツールが合わない場合は別の口座を作るのも良いでしょう。
また、スマホ専用の取引アプリもあるのでパソコン中心でトレードするか、スマホ中心かでも選択の余地があります。
取引ツールの使いやすさはトレードを続けるには大事なので、口座選びの重要な基準です。
多くのFX会社は口座開設が無料なので、自分に合う取引ツールに出会うまで口座を作るというのも良いでしょう。
実際にFXでトレードする際に使用するアプリケーションのこと。
ローソク足などのチャート画面や注文窓などを表示するので、自分にとって扱いやすいかどうかは取引環境を左右しやすい。
約定力
約定力とは?取引注文を出した際に指定されたレートで執行されるかなどの目安です。
初心者の内は気にならない点ですが、取引に慣れてくると無視できない非常に重要なポイントになります。
100円で注文を出したつもりがレートが上昇し100.050で買い注文が執行されてしまう。
※この状況をぞくに滑るとも呼ぶ
指値より乖離して約定すると余計な取引コストが発生します。ただし、相場の流動性の影響を受けるため、約定力の強さは一概には判断できません。
約定の正確さはスキャルピングトレードにおいて損益を分けるくらいに大事です。
約定力が低いと約定が遅いため、指定したレートで注文が執行されません。ただし、スリッページを設定することで注文が滑るのをある程度防ぐことも可能です。
相場の変動状況や取引注文のロット数などの影響もあるため、一概に判断するのは難しいです。また、約定力は取引しないと実感できない部分でもあります。
一般的に経済指標発表時は指値通りに執行されにくいです。
取引注文が指値など、指定レートで執行されるかの基準。
指定レートから乖離されたレートで約定されるほど余分な取引コストになるため、取引において重要な要素
情報力
情報力は取引に関係する情報の信頼性や有用性の高さのことです。近年は各社ともにFXに関わるあらゆる情報を提供をしています。
初心者向けのトレードのハウツー記事や動画などや専門家による経済情勢の解説などです。
初心者の内は多過ぎる情報に振り回されがちです。情報の判断も難しいため、ファンダメンタル関連の情報は十分な理解が必要です。
相場に対する理解が増してくると重要性も理解できるようになるので、情報力の高い業者を選択するのも良いでしょう。
FX会社が提供するFX全般に関する情報リソースの事。
充実しているほどトレードに有利になるという訳でもないので、口座選択の基準としての重要度は低め
信託保全の状態
信託保全というのは預けた資金を保全する能力のことです。
FXは店頭取引であるため、利用者はFXを扱っている会社に資金を預け、そこからFX会社は預かった資金を信託銀行などに預けています。
FX会社のほとんどが信託保全を完備しています。口座選びの際は信託保全の有無だけでなく、その会社の資産状況を確認するのも良いです。
初心者の方に信託保全と言ってもピンと来ないかもしれません。しかし、これまで多くのFX会社が倒産しています。
日本ファースト証券株式会社(本店:東京都中央区、以下「当社」という。)に対しては、店頭デリバティブ取引(外為証拠金取引)に係る顧客から預託を受けた証拠金等の区分管理違反及び自己資本規制比率が100%を下回る状況となったことから、平成19年12月3日、関東財務局長が金融商品取引法(以下、「法」という。)第52条第1項第6号及び第53条第2項に基づき、全ての金融商品取引業務の停止(6月間)を命じるとともに、法第51条の規定に基づき業務改善命令(区分管理不足の速やかな解消、自己資本規制比率の改善等)を発出しました。
引用:日本ファースト証券株式会社に対する行政処分等について:金融庁
そのため、利用者の資金保護のために信託保全があるかは重要です。
信託保全は取引する上で必須条件となので、口座開設の際は信託保全の有無は確認しましょう。
口座利用者の資産とFX会社の資産を分別するために、信託銀行などに利用者の資産を預けて保護する仕組み。
取引特典
取引特典とはFX会社がFX口座利用客に向けた還元サービスの一種です。
FX会社は顧客サービスの一環として、取引内容に応じてプレゼントキャンペーンやキャッシュバックキャンペーンなど行っています。
取引状況に応じて食品などが貰えたりする
取引状況に応じてキャッシュバックが発生する
食品プレゼントやキャッシュバックなどはFX会社独自のサービスなので、永続的に受けられる保証はありません。あくまでも取引の副産物として考えましょう。
恒常的にキャンペーンを行っている所もあるため、口座選択の際に選ぶ基準としてもオススメできるものになります。
特にキャッシュバックに関しては取引コストが低下するため、侮れないサービスです。
FX会社が独自に行っている顧客サービス。各社独自性が強いためその詳細は様々。内容によっては口座開設の選択基準になる。
デモ口座
デモ口座はFX会社の多くで提供されているサービスの一つです。架空の口座をを利用して取引を体験できるため、資金を失うリスクを負わずに取引の流れを理解できます。
デモ口座の有無は口座選びの基準としておすすめです。
架空の口座なので損失が
発生しても現実の資金には影響がない
実際に資金を運用して取引を
行うため差益の影響を受ける
デモ口座は基本的に初心者の方が取引に慣れる事を目的とするものです。またFX会社の中にはデモ口座による取引でトレード成績を競うコンテストを行っている所もあります。
上位入賞者には賞品などが出たりするので、そういったFX会社で口座を作るのも良いでしょう。
デモ口座といえど値動きは現実の為替市場を反映しているため、実際のトレードと同じように取引が可能です。取引の概要を知る上で有用なサービスです。
現実の資金を使用しない架空の取引口座の事。FXが初めての方向けにリスクの無い環境でトレードに慣れてもらうために提供していることが多い。
お客様サポート
お客様サポートが充実しているかどうかは利用者が困った時ほど重要です。
電話・メール・WEB上でチャットなど、窓口は豊富にあるかなどを確認しましょう。為替市場はほぼ24時間動いているため、対応している時間の長さも重要です。
オペレーターによる電話対応。他のサポートに比べて対応できる時間帯は限られる。
電子メールによる対応。時間を問わず連絡できるが、他サポートに比べてレスポンスが遅め
公式サイトでチャットによる対応。電話のように繋がり難いなどの不便さが無い。
パスワードを紛失して取引口座にログインできないなどのトラブルもあります。パスワードを間違うと口座がロックされたりするので、24時間対応できるFX会社を選択するのも良いです。
初めての方は知らない内容も多いので、困った時に丁寧な対応をしてくれるかは重要です。
お客様サポートの充実度を図るためにも、疑問があればFX会社にどんどん質問してみましょう。
FX会社が顧客向けに提供しているFX取引全般に関係するサポートの事。
電話・メール・チャットだけでなく、Lineでの対応をしているFX会社もある。
対応の内容だけでなく対応時間も重要なポイント
FX会社の信頼性
FX会社の信頼性というのは、約定の正確性・お客様サポートの丁寧さ・入出金の対応などに関する正確さなどです。
長く取引を続けないと分からない部分も多いため、初めての方はあまり意識する必要はないかもしれません。
実際に取引口座を利用して初めて知る事も
FX会社の信頼性は長く利用しないと見えてこないものも多いです。約定力や入出金に関すること、お客様サポートの丁寧さなどは重要なポイントです。
また、FX会社の信頼性を知るのに公表している情報だけでは限界があります。口コミなどで情報収集してから口座選びをするというのも一つの手です。
ただし口コミ情報には信憑性が疑われるものもあるため、実際にそのFX会社を利用しない事には分からないというのが実情です。
ここでいう信頼性とは主に取引時の約定力や入出金の迅速さ、お客様対応の内容など。実際に取引しないと分からない部分も多い。
まとめ:取引口座を選ぶ前に確認しておくこと
FX会社は金融庁の許可を受けて営業をしているため、金融商品取引法を遵守することが義務付けられています。
そのためFX会社のみならず、口座を利用する顧客側も事前に取引を理解する必要があります。
最後に取引口座を選ぶ前に確認しておく事を纏めました。取引口座を選ぶポイントと合わせてぜひ活用してください。
- 取引に関するリスクの内容を正しく理解しておく
- 許容できるリスクを事前に把握しておく
- 疑問や不安があればFX会社に問い合わせして解決しておく
- 取引口座を開設する際は事前に取引約款を読み理解しておく