FXは証拠金取引であるため、強制ロスカットというシステムが存在します。
強制ロスカットは損失を確定するシステムですが、同じく損失を確定させる行為として損切があります。
では、強制ロスカットと損切との違いは何か?その役割などについて解説します。
強制ロスカットとは
強制ロスカットとは、文字通り損切を強制的に行うシステムのことです。
FXでは必要証拠金額が、取引口座の純資産額(取引口座残高+為替損益)を割り込む状況になると、強制的にポジションを決済して取引を終了させます。
これが強制ロスカットです。イメージとしては以下の図のようになります。
上記の図のように為替レートがロスカットラインを超えると、強制ロスカットされます。
ロスカットラインはFX口座によって変わります。証拠金維持率が100%でロスカットや50%とする場合などがあります。
証拠金維持率100%の場合のロスカットラインは、純資産額と必要証拠金額が同額になった時点です。
強制ロスカットの役割
強制ロスカットには損失確定以外にも役割があります。
投資家の資産保護です。FXは証拠金を元にして証拠金額以上の取引を行うため、損失が発生する場合も証拠金額を大きく上回る可能性があります。
強制ロスカットは証拠金額以上の損失が発生しないようにするため、未然に防ぐ役割があります。
また、相場が急激に変動した場合、ロスカットラインを大きく超えることがあります。その際は追証が発生する可能性があります。
FXにおける追証とは、為替損失が純資産額を大きく下回り、必要証拠金不足で発生します。追証となった場合、FX会社に必要証拠金の不足分を返済する必要があります。
強制ロスカットのメリット
強制ロスカットのメリットはトレーダーの資産を保護することです。
仮に証拠金維持率を100%とした場合、取引口座の純資産額が証拠金維持率100%になった時点で強制ロスカットされます。
その時点で純資産額は必要証拠金額にまで減ることになります。
強制ロスカットとなることで、当該ポジションの証拠金分の資金が残るため、資産が0になることがありません。
強制ロスカットのデメリット
強制ロスカットのデメリットは損失が大きいことにあります。
FXでは1度の取引での損失割合は、2%前後が適切という考えがあります。ですが、強制ロスカットの場合は2%を大きく超えた損失を確定させてしまいます。
上記の例のように、損失額に大きな違いが出ます。強制ロスカットの場合大きな損失となるため、上記の例だと次回は同じ数量での取引が出来なくなります。
2%での損切であれば、純資産額は98,000円残るため、次回も同数の取引数量で取引が可能です。
損切とは
損切とは自分の意志で損失を確定させる行為のことです。
強制ロスカットは指定したロスカットレベルまで損失を確定しませんが、損切は任意で損失を決めることができます。
損失をトレーダーの意志でコントロールできる点が大きな違いです。
損切の役割
損切は損失を最小限に食い止めて、資産を保護することが目的です。強制ロスカットよりも、損失を少なくするために損切を行います。
損切は損失を抑えるだけでなく、次回も取引できる資産を保護します。損失を自分の意志で限定することで、次回以降の取引環境を維持できます。
損切のメリット
損切のメリットは損失を少なくすることで、次回以降の取引を継続できる環境を維持します。
さらに資金を残すことで、投資家の心理的なダメージも少なくなります。
FXを続けて行くにはリスクをコントロールする必要があります。
つまり、損失は純資産額に対して適切でないといけません。過度な損失を出すと継続した取引が不可能になるだけでなく、精神的な苦痛も大きくなります。
また、精神的なストレスが取引に影響することもあります。
自分の意志で損切を行うことで、損失が与えるストレスを減らし、継続した取引環境を維持できます。
損切のデメリット
損切のデメリットはやはり、損失そのものであることです。
自分の意志で損失を限定させても、損失であることに変わりはないため、何度も損切をすると資金も目減りします。これを損切貧乏と呼びます。
取引の度に損切を繰り返す場合、トレードの修正が必要です。エントリーポイントであったり、損切幅などを見直しましょう。
トレードルールに関しては以下の記事が参考になります。
FXの強制ロスカットと損切について:まとめ
強制ロスカットと損切の違いは、損失の額だけでなく、次回以降の取引環境を維持できるかの違いがあります。
FXを継続したい場合は、強制ロスカットを繰り返していては難しくなります。自分の意志で損切を行い、その上で損切貧乏となる場合はトレードの見直しを行いましょう。
損失をコントロールしながら、トレードの見直しを繰り返すことで取引を安定させていきましょう。